本当に良いエンジニアはいないのか?企業が採用に苦戦する本質とは

こんにちは。grooves にて Forkwell の事業責任者を務めている、赤川と申します。

この数ヶ月、 grooves では全事業部で積極的にエンジニアの採用活動を行ってきました。
当初は応募獲得に苦戦するだろうと思っていたのですが、結果は真逆で、あまりにも魅力的な方ばかりから応募いただけるので、採用に迷うことのほうが多いという結果になりました。

結果的に当初の予定より人員計画を増やすことになったのですが、それでもこの人と働きたいと思った方全員を採用できる状況ではなく、私たちとしてもぜひ一緒に働きたいと思っている方で、grooves を第一志望です、と言ってくれる方に対して採用枠の充足を理由にお断りしなければならないのは、非常に辛いことでした。

世の中には素晴らしいエンジニアがたくさんいるということを、改めて認識しています。

一方で、grooves が運営する Forkwell の元には、良いエンジニアが採用できないので支援してほしいという連絡が毎日届いています。
どの会社も、採用にはかなり苦戦していらっしゃるようです。

この差はなんなのでしょうか。

市場にはこんなに良いエンジニアがいるのに、どうして採用できない企業がこんなにいるのでしょうか。

私の意見は、魅力的なエンジニアに選ばれる企業が圧倒的に少ない、です。

選ばれないのは、差別化できるほどの魅力が足りないから

求人票を作る際に、STPを採用することは有効な手段の一つです。

STPとは、
適切な切り口で市場やユーザーを細かく分類して(セグメンテーション)、
分類した市場の中で狙う層を絞って(ターゲティング)、
その層に刺さる魅力で差別化する(ポジショニング)、
というマーケティングの基本的な考え方です。

STPを使うことで、自分たちの個性に合った方に自社を選んでもらいやすくできるのですが、そもそもポジショニングできるだけの魅力がないことが、多くの企業の課題になっているように思います。

この魅力づくりがないまま、採用ステップに進むから苦戦するのです。

魅力が足りない企業ほど、魅せ方にこだわりがち

魅力がある企業であれば、それを100%伝えることができれば、解決です。

Forkwell はエンジニアが選ぶべきかどうか正しく判断できるよう、なるべく詳しく求人に掲載していただくよう取り組んでいます。
しかし、10の魅力を10で表現することはできても、2の魅力を10に見せることはできません。

多くの採用広告では、このレートが100%からずれてしまうので、不幸が起きていると考えます。
このレートは、100%がいいのです。
50%であれば、まだ自分たちの会社が採用できないだけで済むのですが、150%にしてしまうと、入社した方が確実に不幸になります。これだけは絶対に避けなければなりません。

grooves はどうしているか?

結局、自社の魅力を底上げすることが一番です。

当たり前の給与

正直、大手企業やメガベンチャーと比較すると、届いていません。
それでも、事業の成長に伴って社員の給与は毎年平均10%で上がってきており、2018年は念願の賞与を導入することもできました(とはいえ、まだ年1ヶ月分を給与に上乗せできるレベルですが)。
ユーザーに価値を提供できれば会社が儲かる。会社が儲かった分はちゃんと社員に還元される。だからもっとユーザーに価値を届けようと頑張れる。そういうサイクルを目指して少しずつ積み上げてきました。もちろん、大手企業と並ぶには、高い生産性を実現しながら、よりユーザーに価値を届ける必要があることも理解しています。

最も大事なビジョン

私たちが何を目指したいのか、ぶれないビジョンを掲げています。
わざわざ大企業を断ってまで grooves に挑戦したいと思えるほど価値あるものを掲げなければいけません(少なくとも私はそう信じています)。
また、お飾りのビジョンには何の意味もありませんから、自ら実践する必要があります。groovesでは、 ワークシフトインフラを創るというビジョンに便乗して(ダジャレじゃないです)、様々な試みをしてきました。年初に話題にしていただいた記事もその1つです。

tech.grooves.com

他にも、フレックスやリモートワークは当たり前として、最近ではタイでのワーケーションにチャレンジする社員まで現れました。

www.wantedly.com

サービスがビジョンに沿っていることは大前提として、私たち自身でビジョンを体現することも、ビジョンの形骸化を防ぐために必要だと思っています。

チームの理想に近づける努力

ビジョンの中で働き方への取り組みを書きましたが、それだけではなく、チームとして理想の開発文化を作りあげていくということも大事です。

エンジニア自身が、「こんな組織にしたい」を言語化し、それに向けてどんな取り組みをしているのか発信していく。それに共感した人が集まり、理想とする開発環境ができていく。
その結果として、見積もりはみんなでする、テストを書く、PRをマージするにはプロジェクトで決められた人数以上のレビューが必要、ドキュメントを残す、gem などのライブラリは常に最新版を使うといったチームにとって当たり前の文化ができてきました。

Rails 5 リリース日に Forkwell を Rails 5にアップグレードしたのも、話題作りの意図もありますが、社内をエンジニアにとって刺激的な環境にすることで、働くこと自体も楽しんでもらいたいと思ったからです。

魅力が整ったら採用へ

こういった取り組みをした上で、エンジニアであれば Forkwell や開発ブログを通じて、ビジネスサイドであれば Wantedly などを通じて、伝達率100%を意識して発信しています。

grooves では、今年の2月から3月までに Forkwell Scout を使って20通のスカウトを送り、9名の素晴らしいエンジニアと面談することができました。スパムのようにスカウトを送らなくとも、良い出会いを作ることはできるのです。

現実的にはビジネスである以上、何かをする前に全てが揃うということはないので、今ある手持ちの魅力だけで戦うことにはなるのですが、魅力づくりに手を付けなければジリ貧が続くことを意識して改善を続けています。

まとめ

記事タイトルの「本当に良いエンジニアはいないのか?」という問に対しては、明確に「いる」とこたえます。
良いエンジニアに選ばれる企業が少ない、というのが私の見解です。

それを踏まえて、

  • 自社の魅力をあげよう
  • 伝達率を100%にしよう

という主張を行い、そのために grooves が行っているアプローチを書きました。

本記事が皆さんのよりよいエンジニア採用のきっかけになれば幸いです。

採用に苦戦しているポジションも

実はいま、最も採用に苦労しているのがデザインも好きなフロントエンドエンジニアです。
もし grooves に興味をお持ちいただけるようでしたら、ぜひ以下のリンク先からエントリーしてください。

jobs.forkwell.com